パパはアイドル♪ ~奈桜クンの憂鬱~

予想通りだろう。
ステージの袖にいる泉たちも息を飲んで見守る。


「黙っていて、本当に申し訳ありませんでした―」


また深々と頭を下げた。
みんなの声が全身に突き刺さる。
見えない鋭い矢が、何万本も体を貫通した。
どうやって立ったらいいのか分からないくらい、足が震えて怖かった。


「オレは…2年前までその事を知りませんでした。彼女は…娘の母親は、1人で産んで1人で育ててくれていました。その彼女が新しい幸せの道を見つけた時、娘はオレの所に来ました。生活が…180度変わりました。それまでの仕事だけの何もなかった部屋に、キティちゃんのスリッパが増えました。テーブルにはクレヨンが転がってます。テレビの音だけの空間にカワイイ笑い声が響きます。オレは…この世に自分より大切な命がある事に感謝しています。娘を…産んでくれた彼女にも。娘がいる事でオレはもっと…もっと頑張れるようになりました。喜ばせたい人が増えたからです。でも、結果として皆さんを騙す事になってしまいました。今、色々と噂になっているのはご存知かと思います。マスコミから歪んだ形で耳に入るより、オレの口から直接言いたいと思ったんです」


いつの間にか客席は静かになり、奈桜の話をじっと聞いていた。
一字一句、聞き逃さないように…。