パパはアイドル♪ ~奈桜クンの憂鬱~




―響け、ココロのバラード―


コンサートは新しいアルバムの1番最後の曲から始まった。
この曲はシングルにしてもおかしくないほど完成度が高く、メンバーのイチオシでもあった。特にサビの部分の奈桜の伸びやかな高音と、泉の耳に残る低音の掛け合いのようなアップテンポな流れが聴く者の聴覚を刺激した。


Zのメンバーは皆、かなりの緊張感を持って挑んでいた。
全てはこの、ここにいるファンの歓声に始まり、歓声に終わる。
最後に聞く歓声がいつもとは全く違うものになるだろう事は想像出来た。


ただ、少しでもいい。
まだ自分たちを必要としてくれる人がいて欲しい。
まだ伝えたい事、歌いモノがある。


こちらを見てちぎれそうな程、手を振るファンの子たち。
その笑顔には幸せが満ちていて、空間全てが最高のオーラで包まれて行く。
その笑顔を見れば見る程、奈桜は自分のこれからの行為に裏切りを感じて気持ちが揺れる。