パパはアイドル♪ ~奈桜クンの憂鬱~

「いいよ。もう。お互いさまだよ」


何か吹っ切れたのか、表情はすっきりとしている。


「そっか。そうだな」


泉も笑ってみせる。
すると突然、奈桜が笑顔で立ち上がり両手を左右に大きく振り始めた。


その視線の先はメインステージに立つ、奏、心、碧の姿。
三人は音合わせの為にそこにいたが、みんな1番最上階の客席にいる奈桜と泉を見つめていた。
遠くからではその表情ははっきり見えないが、それぞれ心配で顔は曇っていた。
が、奈桜が大きく手を振ったのを見て、みな安心した。
笑顔で大きく手を振った。
奏は嬉しさの余り跳びはねて手を心の顔にぶつけてしまい、怒った心に頭を殴られた。


「バカだなぁ」


クスッと奈桜が笑う。


「このバカなとこがオレたちなんだよ」


泉が隣に来て奈桜と肩を組むと、2人は軽く頷き、思いっ切り跳びはねて両手を大きく振った。


笑顔で。


…あと数時間で運命のコンサートが始まろうとしている。