パパはアイドル♪ ~奈桜クンの憂鬱~

「あ…アハハ。一瞬、マジかと思った」


「そんな訳ないよ」


フッと笑う奈桜のその横顔は、どこか淋しげに見える。


「だよな。悪い」


「いいよ。別に」


会話が途切れ、二人はじっと目の前のステージを見つめる。


「この日を…この日をさ、これだけの人の手が作って来たんだ。お金じゃないよ。すごく大切なものだと思う。かけがえのないもの。それをオレが壊すなんて出来ないよ。そんな権利もない。今、オレがやるべき事はひとつだと思う。…オレはコンサートを成功させる。誰にも邪魔させない」


決意表明のように聞こえる。
その瞳にはメインステージの巨大セットがしっかりと映り、引き締まった表情はすでにコンサートモードに切り替わっていた。