「お疲れさまでした。…梓さん、神川プロデューサーと連絡ついたんですけど。今晩会いたいって言うんです。…ホテルで。もちろん、それは無理だってお断りしたんです。でも、食事をしたいだけだってしつこくて。怒って電話切ったら、何度もかけて来るんです」
スケジュール帳を見ながら早足で歩く。
そしてすぐに話題も変わる。
「…あぁ、今のインタビュアー、感じ良かったですね。映画の話を主に聞いてくれて」
映画のキャンペーンの為のインタビューなのに、そのほとんどが梓自身への質問である。
『好きな男性のタイプは?』
『いくつで結婚したいですか?』
『今、好きな人はいますか?』
「そうね。でも、私は別に何でも答えるわよ。答えられない事以外は。それで番組で取り上げてもらえて、映画に興味を持ってくれる人がいたらそれでいいんじゃない?」
「さすがですね」
「それと……。神川プロデューサーにはOKだって返事しといて」
真っ直ぐ前を向いて歩く梓の姿は背筋が伸びていてカッコイイ。
少し後ろへなびいて行く長い髪は思わず触りたくなる程、軽やかに動く。
「えぇ!?」
青木はつまずきそうになった。
「フフ…。勘違いしないで。神川プロデューサーの今日のスケジュール、調べておいて。すぐ」
梓はうっすら笑みを浮かべて歩いて行く。
「エロオヤジ…」

