パパはアイドル♪ ~奈桜クンの憂鬱~

「何だよ。何にもないよ」


奈桜は笑いながら言う。
が、碧とは目を合わそうとしない。


「言えって。お前が仕事絡みで事務所と何の話があるんだよ。七海に何言われた?」


その言い方はキツく、声も大きくなっていた。
しかも、最後に『七海』と名前を出したのはわざとだろう。
今ひとつ頼って来ない奈桜に、碧は苛立ち始めていた。


「な…七海!?」


「七海って、あの七海?天才子役って言われてた…」


泉の声はひっくり返り、奏の目は飛び出しそうだった。


「それくらいで驚くなよ」


何もかも『見えていた』心にとっては何の驚きもない。


「詳しく聞きたいけど…この話は次にした方がいいな」


小声で話かけて来た泉に、奏は黙って頷いた。