パパはアイドル♪ ~奈桜クンの憂鬱~

「騙すつもりはなかったんだよ。いや…騙されてたのはオレたちか。あ、責めてるんじゃないよ。知ったのは最近でさ。オレたちだって最初はめちゃくちゃ驚いたんだから。有り得ないでしょ?アイドルがパパって。しかも奈桜がさ」


泉は手紙を奈桜に渡しながら、肩を抱きかかえてソファーに座らせた。


「いや、ごめん。本当にごめん。オレ、みんなの事、騙してた。オレには6歳の娘がいる。…オレはパパです。本当にごめん!」


奈桜が深々と頭を下げる。


「いいよ。謝らなくても。結婚は?…してるの?」


心がキョロキョロと周りを見る。
生活感はあるが、主婦の匂いがしない。
部屋全体がシンプルで、キティちゃんの小物が唯一の普段の日常を映している。


「結婚はしてない。子供がいた事だって、2年前まで知らなかった。子供の母親とは…今色々あって。恋愛感情はもう全くない関係。向こうは結婚したらしいし。今はオレが実家に頼りながら育ててる」


「それって、勝手に産んで、邪魔になったら男に押し付けたって事?」


奏のデリカシーのない質問に隣の心がパシッと頭を叩いた。


「お前はクッキー、食ってろ」