「もしもし…碧?」


「奈桜?」


一人きりの静かな部屋で、奈桜は碧に電話をしていた。
どうしても今日中に伝えておきたい事がある。


「うん。今、ちょっといい?」


「いいよ。電話なんて珍しいよな?どうした?」


何となく空気を察知した碧はわざと明るく聞く。


「あのさ、明日、Zのメンバーを家に呼ぶ事にした。…それでみんなに全部話そうと思う」


思い切ったように、たまに息を吸い込みながら言った。
悩んで決めた事だという事はその口調からよく分かった。


「そっか。そうだな。もう、その時期が来たのかもな」


「碧、今まで黙っててくれて本当にありがとう。お前のおかげでどれだけ救われたか分からないよ。感謝してる」


「何だよ。水臭い事言うなって。たまたま知ってしまっただけの事だろ?それに、言う相手がいないから言わなかっただけだよ」


照れ臭そうに笑いながら言う。
電話越しでも照れ屋の碧が照れている姿は想像がついた。