パパはアイドル♪ ~奈桜クンの憂鬱~

「奈桜こそ、先生が感心してたわよ。連絡帳、いつもちゃんと返事書いてるんだってね」


「それくらい、当たり前だろ…」


あまりそういう事は知られたくなかったから、ちょっと口ごもった。


「いいパパじゃないの。じゃあ、明日また迎えに来るわ」


保育園へは毎日、優子が送り迎えしてくれている。


「あぁ。ありがとう。おやすみ」


ドアがカチャッと閉まり、テレビの音だけが響く。
奈桜はベランダに出て深呼吸した。
高層のこの部屋のいい所はやはり眺め。
夜景は見てるだけで癒される。
この景色と今の自分。
飾り物が多過ぎて似ている。


『君の声が聞ければいい…』


新曲をふと口ずさんだ。