パパはアイドル♪ ~奈桜クンの憂鬱~

リハーサルが終わり、奈桜は一目散に家に戻った。
いつもと違う明かりのない部屋は、桜がいない事を実感させる。
それでも、『もしかしたら…』と虚しい期待でそっと桜の部屋のドアを開けた。


小さなベッドのキティちゃんの枕とキティちゃんのシーツ。
何でもキティちゃんで揃えたがる。
部屋の空気にさえ、微かな桜の匂いを感じる。
全てが胸を締め付ける。
今抱いている、娘への『愛おしい気持ち』
自分の命よりも大切な存在が出来た事。
この2年で劇的に生活が変わったが、それは奈桜を、まだ知らなかった『幸せ』へと導いてくれた。


「いる訳ないのにな」


淋しく笑って静かにドアを閉めた。