パパはアイドル♪ ~奈桜クンの憂鬱~

曲が終わり、ピーンと張り詰めた空気が外まで漂って来る。
もう一度、奈桜が曲をかける前に中に入らなければならない。
碧は勢い良くドアを開けた。


「碧か?」


下を向いて汗を拭きながら顔を見ずに奈桜が言う。


「あ……あぁ。何で分かるんだよ」


「音だよ。そんな勢い良く開けるのは碧しかいない」


ニッコリ微笑んで碧を見る。
元々、優しい顔立ちが一層柔らかくこちらを見て、碧の胸は苦しく痛む。


「喉渇いたな」


奈桜は近くにあったスポーツドリンクを音を鳴らして飲んだ。
少し上を向いて飲む横顔が、光りに照らされて男から見てもカッコ良く見えた。