パパはアイドル♪ ~奈桜クンの憂鬱~

車はしばらくしてリハーサルスタジオに着いた。


「立木さん、ありがとう」


碧は心のマネージャー、立木(たちき)に礼を言った。
立木は口数は少ない男性だが、仕事は早い。
テレビ局に残された石田にもすぐに連絡をいれてくれていた。
続いて車から降りて来た心は、碧と目が合うとフッと笑ってみせる。


「奈桜は大丈夫だよ」


その落ち着いた笑顔と口調に、碧の焦る気持ちも少し和らいで行く。
何を根拠に言っているのかは分からないが、冷静なその物言いに高ぶった気持ちも少しだけ落ち着いた。
碧は笑って軽く頷くと、急いで中へと走って行く。