―激しいうねりの中へ…―
「奈桜!」
血相を変えた碧が楽屋に飛び込んで来た。
「奈桜ならもう行ったよ。昨日ソロが上手く行かなかったから、先に行って練習するって……なんだよ。どうした?何かあった?」
ちょうど出ようとしていた泉が碧のすごい剣幕に驚きながら答える。
碧は息を切らしながら泉を見た。
「そう…か。ありがとう。行くわ」
歌番組の収録を終え、雑誌のインタビューをいくつかこなしてからZのメンバーはそれぞれコンサートのリハーサルへと移動していた。
「おい!どうしたんだよ」
またどこかへと走って行く碧の後ろ姿に泉の声が追いかける。
が、碧は止まらない。
声すら届いていなかった。
「くそぉ!何でいないんだよ!」
狭い廊下を並んで歩く無神経な女性アイドルグループの群れを器用に掻き分けながら、奈桜を探して走って行く。

