―ハートのクッキー―
「桜、ただいま!!」
元気良く奈桜が帰って来た。
「寝てるわよ」
優子が静かにするように人差し指を立てる。
「なんだよ。もう寝ちゃったのか」
一気にがっかりしてソファに座り込む。
沈み込んで行く感じが疲れた体を癒して行く。
「9時まで起きてたんだけどね。明日は保育園があるし。奈桜はいつ帰って来るか分からないでしょ?…食べて来た?」
「うん」
奈桜はテレビをつけるとニュース番組を探す。
「あっ、そうそう、昼間、桜ちゃんとクッキー焼いたのよ。あの子、張り切っちゃって。可愛かったわよ。ほら、これパパの分だって。帰って来たら食べてもらってって。…はい」

