パパはアイドル♪ ~奈桜クンの憂鬱~

「1人で帰れるわよ。すぐ近くなんだから。もう休みなさい。顔色、ちょっと悪いわよ」


桜を見つめる奈桜の背中がやけに疲れて見える。
26歳にしては大きな物をしょい込んでいる事が、ふと可哀相に思えた。
いつまでこの秘密を持ち続けるのか。
いつまで自分を応援してくれるファンを騙し続けるのか…。
真実を打ち明けた時、奈桜に何が残っているのか…。
この秘密がスキャンダルとして世間に出る時……
そこまで考えて、優子は軽く深呼吸した。
悪い事を考え出すと止まらなくなる。


「そうだ。桜ちゃんが『パパに』って作ったクッキーがあるから。食べなさいね」


「うん。ありがとう。気をつけて帰って。父さんにメールしとく」


「アハハ。飛んで迎えに来るわね。心配性だから。じゃ、また後で保育園の迎えに来るから。…若いお母さんで良かったわね♪」


優子はちょっとふざけるように笑って言うと、そっとドアを開けて帰って行った。
奈桜は桜のベッドに潜り込むとそのまま目を閉じ、眠りに落ちて行く。


優しい温もりに包まれながら…