パパはアイドル♪ ~奈桜クンの憂鬱~

「桜ちゃんと保育園から帰ってる時にね、男の人に声をかけられたのよ。プロデューサーだって」


「プロデューサー!?」


奈桜は飛び起きた。


「どんな人だった?名前は?男?女?」


明らかにパニクりながら聞く姿に優子は少したじろぐ。


「男。40代後半位のちょっとシブイ感じの人。名前は覚えてないわ…。ごめんね。でも…確か日読テレビの人だって」


奈桜の顔から一気に血の気が引く。
背中に氷をひとつ、落とされたような寒気が走った。


「神川だ……」


優子には聞き取れない、低い小さな声が漏れた。


「それが…ね、桜ちゃんをZのアルバムの写真に使いたいって。スカウトみたいな事を言ってたけど…。母さん、ちょっと嫌な予感がして。断って急いで帰ったの。わざと遠回りして。たぶん、つけられてはなかったと思うけど」


奈桜の様子から、何かあった事は容易に想像出来た。
当たって欲しくない予感が当たっているかもしれないと、優子の胸に不安が広がり出す。