―見えない行方―
「あっ、お疲れぇ~」
控え室に入って来た奈桜に、先に終わっていた心が声をかける。
「お疲れ」
笑顔を作ってはいるものの、沈んだ想いは隠し切れない。
「ソロ、結構時間かかったね」
グループ内でも1番、メンバーの状態が分かるのが心だ。
休憩後の練習の時から、奈桜の様子が変わった事が気になっていた。
「今回の振り付け、ハードだからな。なかなか覚えられないや」
苦笑いを浮かべて心の中を悟られないように平常を装う。
「いつもの奈桜ならあれくらいの踊り、朝飯前でしょ?」
あまり人と話したい気分ではない奈桜は、テーブルに置いてある誰かの…おそらく碧のゲーム機を手に取り電源を入れた。
『話しかけないで』オーラを体中から放出させながら。

