パパはアイドル♪ ~奈桜クンの憂鬱~

「それでも事務所がNOと言ったら…」


奈桜の苦渋に満ちた声が低く響く。
入れ替わりに神川のあざ笑う声が重い空気を割った。


「自分で考えろ、奈桜。事務所を支えてるのはZだろ?言いたい事言えよ。なぁ?」


もう一度笑い声が聞こえ、そのまま一方的に電話を切られた。


「おい!………くそぉ!」


強く振り下ろした右手が怒りで震える。


「ふざけやがって!!」


奈桜は携帯電話を思いっ切り壁に投げ付けた。
石田から借りたその黒い携帯電話は、綺麗に真っ二つに割れて階段に転がって行く。


「くそぉ!くそぉ!くそぉ…」


壁を激しく拳で叩きながら、その声は次第に小さくなって行く。
代わりに透明な雫が頬を伝って行った。