俺は植田の家に入った事がなかった。 植田の家に送るといつも、「ここでいいよ」って植田が言うから。 植田の家を詳しく尋ねると、「あそこ」と指差した。 その一軒家の前に立ち、俺は表札を穴が空くほど見つめていた。 その名前は何度眺めても変わる事がなく… 「……山口さん…?」 って誰だよ!? 植田んちじゃねぇし! 騙されてたのか…?ってか何の為に? 辺りを見渡した俺は、ふと気付いた。 俺がこの辺りの風景に見覚えがある事に…。