憂いの塔





そこにいたのは片目を髪で隠した紅道だった。



『休憩中』と言われたが、いつもそうだと言えない紗江子は


「え、あ、まあ……」

と曖昧に返事をした。



「勘定を頼む。」

紅道はそれだけしか言わなかった。


よく見ると紅道の腰には刀が差されていた。


一瞬、たじろう。



「―――あ、わかりました。えーと、……代金は7影です。」


『影(エイ)』とは、この異世界の魔界でのお金の単位だ。