憂いの塔




「まあいっか。」


紗江子は息を吐きながら言った。


淳子はもう、興味なさそうに掃除を再開している。




その時、慌ただしい音を立てて表の玄関が開いた。


息を切らした銀髪の男が入ってくる。



「あ、お稲荷さん」


お稲荷さんこと、架白(カシロ)の頭には狐耳、
そして狐の尻尾が頭を覗かせていた。


どれも髪と同じ銀色だ。




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