憂いの塔




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「紗江子(サエコ)。」


紗江子は名前を呼ばれ、向きもせずに返事をした。


「何よ。」


金平糖を数個、口に放り込む。


「何よ、じゃないよ。あんた一応、看板娘でしょう?」


淳子(アツコ)は掃除機を止め、紗江子に向き直った。


紗江子はカウンターに座り、金平糖を食べたり雑誌を読んだりしている。




「そうだけど?」


まあ、そんな良いもんじゃないけど。

紗江子は呟いた。


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