「じゃ…職員室のことについて説明していきますね」 教頭が話しかける。 「はい、お願いします」 ここで はじめからやり直そう。 なにもかも忘れて。 時間がたてば雨霧のことも、 記憶の中から少しづつ消えていくんだろうか。 そしてまたいつものように過ごせばいい。 今はまだ俺の中にはまだ残っている彼女の腕の、背中の、髪の… 感覚が鮮やかにはっきりと蘇る記憶。 でもやがてそれも静かに。 自分自身から離れてゆくのだろうか。