あ。
なにか金属に触れた。
鍵…?

それを取り出しじっと見つめる。

返そうと何度も思って結局返せずにいた先生の鍵。


「ごめん…」

「え?」

「ごめん!
結衣、アタシ急用思い出したから…
行くところあるから!」


なぜか鍵に触れたとき胸が苦しくなって行かなきゃ、
と思った。


「あ、葵!」


呼び止める彼女の声に答える事もせずアタシは駆け出す。

そう、化学準備室へ。