「もう!…本をね… 返そうと思って」 アタシは結衣の肘を押し返しながら答える。 結衣はアタシの意味のわからない返答に途端に肘をつく仕草を止める。 そしてアタシの正面に向き直り言った。 「本?」 う…。 そんな正面向いて聞かれると…。 「うん、 前に高篠先生が大切にしてた本をアタシがダメにしたことがあって…」