照れたように言う木村くんにアタシもこころの奥が少しくすぐったくなる。 この人は… とてもやさしい。 そして アタシはこのやさしい人を欺いている。 「じゃ、俺帰るわ!」 そう言って片手を挙げる。 「あ、挨拶は?」 慌ててアタシが言うと 「どーせまたグチグチ言われるだけだからいいよ!」 そう笑いながら言って走って行った。