でもアタシの気持ちにおかまいなしに彼女は聞いてきた。


「ねえ。
どんな話したの?」

興味深そうな顔をしている。

何か答えないと答えるまで解放してくれなさそうな感じ…。


一生懸命あの日のことを思い出す。

なにか…。

あ、そうだ。

「高篠先生がいつも持ち歩いている本あるでしょ…?
あれって留学してたときに買ったものなんだって。
大切な本で今も大事に使ってるんだって…」

先生はそう言っていた。

留学していたときに買ったものだと。