「違う…! 行かないでくれ!」 「え?」 「もう少し…このままで…」 でもどうして彼女がここに? 彼女の腕を掴む自分の左手にある腕時計を見る。 木村と別れてだいぶ時間が過ぎている。 もともとこの部屋は昼間でも薄暗いから時間がたっていたことにも気付かなかったのだろう。 目覚めて急に無意識とはいえさっきの俺の言葉に彼女の驚く顔はまた怯えた表情になる。