「…先生?」 「あ、ああ。すまない…」 俺は彼に自分の表情を隠すように木村から目を逸らす。 そして白衣のポケットに突っ込んでいた両手がかすかに震え始めるのがわかる。 「それで俺、 つい彼女に待っててもいいかって聞いたんですよね。 でも今になってそんなこと聞いてもよかったのかなって…」 木村はそんな俺の表情に気がつかなかったのかそのまま話を続ける。