「今度はね、アタシにとってそれが退屈になっちゃった。 アタシって好かれるよりも好きでいるほうがいいのよね、 きっと」 俺は苦笑する。 「そう、 でもまた飽きさせることもあるかもしれないよ?」 どこまでも都合よく考える彼女はきっとまた俺から離れてゆくだろう。 今日、今、言ったその言葉も忘れて。 そうやって女は俺を通り過ぎてゆくんだ。 「大丈夫よ? アタシ、龍之介に尽くしてあげる。 結婚だって考えてるんだから」 「…結婚…?」 思いもよらない言葉に俺は彼女に言葉を返す。