---from 龍之介---
「アタシ、別れたのよね?」
「俺たち?
別れたじゃないか。
キミが愛想尽かして」
あまりにもどうでもいい話に彼女の顔を見ることもなく答える。
「違うわよっ!
龍之介じゃない、別の人!
アタシはっきりわかったの。
やっぱり龍之介じゃないと…」
女は指で髪を遊ばせながらふっと笑う。
そして腕を伸ばして俺の背中に回す。
マニキュアを塗った長い爪。
きっと毎日、猫のように丁寧に手入れでもしているのだろう。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…