自分の知られたくなかった部分。 そして雨霧だけには絶対に知られたくなかった。 「え?」 「…いらないから…!」 冷たく言ったその言葉に彼女の表情がこわばる。 いつも俺を見ていた目だ。 遠くから見ていた。 またその目で俺を見ている。 「先生…どうして? これ、先生にって…」 彼女は俺の態度にどうしていいのか一瞬戸惑ったように見えたがそのまま包みを差し出す。