「…先生?」 呼び声にハッとして顔を上げる。 そして自分が化学準備室にいることを理解する。 そうだ。 準備で生徒がここにいるんだった。 しっかり、しなければ。 自分に言い聞かせるように意識して彼に笑って応える。 「先生? 今日は実験じゃないからもういいですか?」 木村 空が立っていた。 最近、 雨霧とよく一緒にいる生徒だ。