---from 龍之介--- 昨日。 どうしてあのとき俺は雨霧から視線がはずせなかったのだろう。 中庭で女子生徒たちといて教室棟を見上げたら雨霧がこちらを見ていて。 生徒たちが去った後。 でも彼女は来なかった。 そのまま待っていたって来るわけないとわかっていた。 でも雨霧も同じように俺のことを見ていた。 だから 来るかもしれないと。 来てくれるかもしれないと。