「何も自分から辛い恋を選ばなくてもいいんじゃないの?」 やっぱり結衣はアタシが何も言わなくてもわかっていたようだった。 でも何も言わないアタシなのにやさしくなだめてくれる。 「うん…」 アタシは上の空で返事をしながら木村くんがアタシのことをそんな風に想っていたことに戸惑っていた。 「ライブは…付き合ってやんなよ?」 辛い恋…、そうかもしれない。 「…わかった」 小さな声で返事すると安心したように結衣は微笑んだ。