結衣はアタシの両肩を揺さぶるようにして掴んで言った。

「違うから!
アイツ必死になってチケット探してたんだから!」

不思議そうな顔をしているアタシに彼女は続ける。

「いい?
木村は葵のことが好きでアタシにどうしたらいいかって聞いてきたんだから。
それで葵の好きなアーティスト教えてあげたらそのチケット探すのに必死になって…」


そうだったんだ。

でも彼、
そんなの一言も…。