少し歩いてから再び振り向くと雨霧は本を受け取って貸し出し手続きをしていた。 …一瞬彼女がこちらを見ていたような気がしたけれど。 まさか。 思い過ごしもいいところだな。 そして廊下を歩きながらさっきの時間を思い出す。 たった数分の、 言葉もそんなに交わしていないのにとても穏やかに思えた時間。 彼女は… どうだったのだろう。