---from 龍之介---

このまま過ごしてゆくものだと思っていた。

何もかも諦めて。

でも彼女が…
雨霧 葵が俺の前に現れてから。


今まで遠くから俺のことを見ていて決して近づこうとしなかった彼女。

近づいてこないのならそれでもいい。

気にも留めなかった。


なのにいつからだろう。

彼女のその瞳が俺を、
本当の俺を見透かしているのかもしれない。

そんな戸惑いを覚え始めたのは。