きっと大切な本なんだろう。 アタシはなんとなく教壇のほうへ移動してそっとその本に手を伸ばしてページを開く。 難しそうな化学式やたくさんの先生の書き込み。 それも英語? 「何をしてる?」 先生の声にドキッとする。 急に声をかけられると… びっくりしてホント心臓に悪い。 「すいません…」 先生はアタシの手元の本を慌てて閉じた。 「雨霧にはわからないだろうね」 なんか嫌味な言い方。 でも言う通りだから仕方ない。