結麻と別れて四年の歳月はあっという間だった。

 毎日を忙しく過ごしてきたけれど、やはり結麻を忘れた日は一日もなかった。そろそろ結麻は俺と逢ってくれるだろうか。怯えた目で俺を見ていた結麻を思い出すと、なかなか電話すらかけられなかった。

 意を決して俺は結麻に電話をかけると、あの頃と変わらず明るい声が聴こえた。その声に安堵し、ついつい幸せだった頃の思い出話しをした。


「会わないか?」


 やっとの思いで俺がそう訊くと、結麻は承諾してくれた。

 その頃車を買ったばかりだった俺は、車で迎えに行くと云い、昔のように高山台公園で待ち合わせをしようとは云わなかった。あの獅子座流星群の夜、俺はあの公園で結麻を酷く追い詰めたから、そんなことをもう思い出して欲しくない。だから車で迎えに行くと咄嗟に口から出たのだろう。

 待ち合わせ場所へ行くと、すでに結麻が待っている。俺はすぐにでも抱きしめたい衝動を抑えるのに苦労した。そして、俺はどうしても結麻の歌が聴きたかった。初めて二人きりで逢った時を再現したかったのかもしれない。

 結麻を助手席に乗せ運転していると、初めて逢った時のドライブの時や、温泉へ行った時のことを思い出していた。結麻ももしかしたら俺と同じように思い出しているのだろうか。気になったけれど、口に出して訊くことは出来なかった。