『永遠の愛情が欲しい』

 いつか冗談混じりに結麻はそう云ってた。いつだって俺が隣りにいるのに、独りぼっちのような寂しげな横顔――。あの時、俺にはそれが冗談だとはどうしても思えなかった。涙を堪えているような表情をしても、決して俺の前で泣くことはない。

『私は強いから大丈夫』

 いつもそう云っていた結麻を、俺は強い女性だと勝手に
思い込んでいたのかもしれない。でも、本当の結麻に近づこうとすればするほど、俺から遠ざかるような気がして近づけなかったのも事実だ。


 成人式を過ぎた頃だったろうか、結麻と電話をしながら、窓の外は夜の闇に真っ白な雪が降っていた。

 俺はどうしてもその時結麻に会いたくて、それを告げると、俺達は同じ気持ちだということが分かり、高山台公園で待ち合わせをした。

 初めて二人きりでデートをした日のように、お互い全力で走って会いに行った。白い息を切らし、靴が雪に埋もれ、転びそうになっても前だけ見て走ったんだ。

 一秒でも早く会いたくて……会いたくて……。

 高山台公園が見えてくると同時に、結麻も向こうから俺と同じ様に必死で走っているのが見えた。そして高山台公園の前で強く抱き合った時、降り積もった白い雪は寒さも忘れるほど綺麗で、俺達は街灯に照らされ、雪はキラキラと光っていた。それはまるで俺と結麻二人しかいない世界のように見えたから、まさか、この雪が溶ける頃、俺達の間に溝が出来るなんて想像もしなかった。