またつぎの日。

ジャンはやっぱり部屋に来て、
身を乗り出してこう言った。

「あやまってくれ」

そっぽを向いて、犯人は言った。
「また?誰に?」

「ぼくにだ」
ジャンは言った。

「お前は、ぼくから妹をうばった。
だからあやまれ」



犯人は言った。

「私に家族はいないから、
そんな気持ちは知らないわ」

ジャンはつばを飛ばしながら、
妹を失った日々のつらさを、
日が暮れるまで語ってやった。

「私に話してすっきりした?
そんな話、遠慮して
ほかの人にはできないでしょ」

ジャンは部屋を出て、
長い影を引きずりながら
帰っていった。