「はい」

手を上げたのは、傍聴人。

裁判長は、びっくりして、
思わず「どうぞ」と言ってしまう。



傍聴人はこう言った。

「私はジャン。
被害者の兄です。
言いたいことがたくさんあるし、
聞きたいことはもっとある。
こいつと面会したいんです」

ジャンは犯人を指差した。