私は嘘で出来ている。

「市河さんこそ、私のこと知ってたのね」


「だって、学部一緒だし、授業もほとんど同じだったでしょ?知ってるよ」


好意があったから、とは当然言えなかった。


「そっか…そうよね」


有本君はようやくお茶菓子の苺大福に手をつけた。


「あ、美味しい」


「でしょ」


私もお茶を一口飲んだ。


有本君に手作りのお菓子を褒めて貰える。


幸せだった。


「で、ウチの店としては有本君を採用したいんだけど、それでいい?客層は若いOLだったりサラリーマン全般だったり。仕事仲間は二十代後半から四十半ばまで幅広いけど、皆良い人だから大丈夫だと思うよ。私も案内係とか厨房とか色々やってるし」


「…ごめんなさい。やっぱり辞退します」