「昴…昴…」

紫雲は包みの中身と私の顔を交互に見て、

「俺、昴…大好きだよ…」

瞳を濡らしていた。

「紫雲?何泣いてるの。私、紫雲が好きなんだよ」

「…うん。うん…昴、俺…」

「うん。大好きだよ、紫雲」

ガバッ

「うわぁっ…紫雲?!」

カツンッ

落ちた箱の中には、ある掛け軸がひとつ。

紫雲が文化祭のとき、隠れて書いていた愛の言葉。

『いとかなし、六連星』

そこには昴から添えられた、真新しい言葉が。

そして、紫雲が左手に握る包みの中の大きなハートのチョコにも書かれてある言葉。

『私も大好きだよ、紫雲』

昴からの返事とも言える愛の言葉。

抱きしめた腕の中には、射止められた小さな天使。

「本当だよね…夢じゃないよね…」

震える声に、

「本当だよ、確かめ過ぎ」

昴は優しく笑いかけた。

バレンタイン。

新しい恋の実り。

「さ、行こう?紫雲」

「へ?」

「皆に会いに!!」

「えっ?ちょっ昴ぅうう!!」

2人の恋物語は、まだ始まったばかり。



【END】