辰志は少し俯き、両指を絡めて膝の上に肘を置き、語り始めた。

「俺さ…昔、好きな子に酷いこと言っちまったんだよな…」

え…?

「いつも遊んでた子だったんだけど、家が近所でさ…必然的に一緒にいた。そんとき親父とお袋がいなくなって3年くらいで…まだまだ精神的に不安定だった。でもそいつの笑顔を見ると、悲しんでらんねーと思った。俺はそいつに救われたんだ」

俯いている辰志を、私は見つめ続けた。

「だけどさ、そいつが俺の知らねー奴と楽しそうに遊んでたときがあったんだ。それ見て…嫉妬が心ん中に渦巻いたんだ。8歳くらいだぞ?それくらい……好きだったんだ」