辰志が居間のドアを開ける。
…なんか勢揃いだなぁ。
お母さん、お父さん、お兄さんかな…?煙草吸ってるし。あと、おさげで、大人しそうな妹さんが居る。
「お邪魔します」
私は軽く会釈した。
「いらっしゃい。聞いてたわよ〜たっちゃんから。恋人なんですってね♪私はね、たっちゃんのおばさんよ?たっちゃんの…お母さんの姉ね」
少し悲しそうにした、お母さんもといおばさん。お母さんじゃないんだ…ってあれ?じゃあ…お母さんは?
私が疑問を抱えていると、
「あら…?確かあなた、昔…たっちゃんと遊んでなかった?」
おばさんが驚いたような顔をした。
え。
あっそうか!一応叶家とは近所だったしな。
でもそのときは、大きな家で…その頃からいつも辰志と一緒にいるこの方が、お母さんだと思ってた。
私は頭を下げた。
「お久しぶりです。私はてっきり…お母様かと思っていました」
私はおばさんに、にこっと笑った。
「(昔?…)」
辰志にはわけがわからなかった。
「かわいらしいお嬢さんじゃないか、辰志!よかったなぁ。これでお前も一安心だな!寅志は俺の後を継ぐ気はないし、お前にやってもらうつもりだしなっ!」
何のことだろう?


