そこで、あたしが
近づいていたのに気付いたのか、
お兄ちゃんがこちらへ
歩いてくる。

「こら。
待ってろって言ったのに…。」

「だってあまりに遅いから
心配になっちゃって。」

「まぁ、一筋縄じゃいかなかったな。」

お兄ちゃんは肩をすくめて見せる。

その時。

「ちょっと!
話はまだ終わってないんだけど?」

鈴華さんの声がした。

お兄ちゃんは再びため息をついて
あたしの頭をくしゃくしゃっと撫でると
またリビングへ戻っていった。