無駄に長い話を聞き流す。

 欠伸をしながら体育館を見回した。

 気付いたら、もう3年も経っていた。

 入学した日もこうやって体育館を見回したっけ。

 あんまり変わってないなぁ…。

 会長の答辞で泣く周り。

 きっと円香も泣いてるんだろう。

 強そうに見えて泣き虫だから。







 卒業式が終わって、LHRも終わる。

 グランドに出て写真を撮る人もいれば、泣きながら喋る人もいる。

 俺にはそんなこと出来ない。

 未練も何もないから。


「大和!」

「…祥次」


 うわあ、学ランのボタン全部無くなってる。

 今でもそんなことするんだ…。


「お前も高校行ってから頑張れよ」

「適度にね」

「お前なぁ……っ、」


 祥次の目から零れた涙。

 祥次が泣くところ、初めて見た。


「忘れねぇから…お前も忘れんなよ…っ」


 ハグしてきた祥次を受け止める。

 そんなに、悲しいものなのかな。

 俺にはわからないよ…。


「また会おうな!」

「死ななければいつでも会えるよ」

「…そうだな」


 ゆっくり離れていく祥次を見送る。

 昔から強くて、堂々としてた祥次。

 別れって、そんなに悲しい?

 俺は何も感じないよ。


「あ…大和、」

「円香…」


 少し驚いたような君が、そこにいた。