さっきからヒソヒソと
クラスメートの間で自分の話題が交わされてるとも知らずに、


隣の席では相変わらず、ふてくされたままの翔。


それがさらにクールな印象を、かもしだしていたのか

ますます向こうから聞こえてくる、女の子たちのはしゃぎ立てる声に


わたしは居ても立ってもいられず

とっさにギュッ!と、スカートのすそを握りしめて込みあがる想いをこらえた。


「……っ」


…みんな、だまされてる。絶対だまされてるよ。


本当の翔はクールじゃない。

ちっともクールなんかじゃ、ないのに。



だってわたしが知ってる、幼なじみの翔は


不良みたいに口が悪くて、強引で。


そして、すごく意地悪な人だから…。